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2019年2月 8日 (金)

穂高町学者村別荘計画

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(表紙の図はピーター・ホプナーの週末住居)

 

 

「穂高町学園都市誘致東京連絡所」というのが現在の「穂高町学者村」になる前の名称でした。

今から50数年前のことです。

その頃に作られたパンフレットが見つかりました。16例ほどの別荘の図案、設計図集です。

驚いたことに半世紀も前のものとは思えないモダンなコンセプトとデザインがそこに描かれています。 

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昭和40年代に入り、高度経済成長の真只中にあって何でも貪欲に飲み込んできた頃に似つかわしくない、足るを知るようなスマートな提案がなされています。

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確かにこれらの図面、建築知識のある方ならば指摘されるべき古い部分はあるのかもしれません。

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しかし、最新の間取りと比べても使いづらさは感じず、むしろ現在までの間、文化の停滞、さらには退化が起こっているのではないか?と思わせるほどこれらの設計には斬新なアイデアを感じます。

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それを裏付けるのが巻末に書かれた解説文です。

「たわごと」と題された文を全文原文のまま掲載します。

 

「たわごと」

 別荘とは、歴史的には狩りや、休息のために市街地に対して郊外にもうけられてきたものであり、また、Second houseにも示されるように、firstたる本拠地に対して一定の距離をへだてたところにあるサブ拠点と考えられる。

そこでは非日常感覚につつまれた環境で、メルヘン、おもしろさ、休息といった市街地とは異なった生活体験をしていくことが可能であろう。

 このように考えると、別荘には、市街地住宅の様式とは必ずしも一致しない空間の流れがあるだろうし、時には少々の不便さをいとわず、むしろその不便さを積極的に乗り超えて空間のあやなすメルヘンに遊んでもいいのではないかと思われる。

 もっとも、現実には少しずつ別荘の意味が逆転し、郊外、田園に本拠を移し、都市にはアパートの一室だけを借りて生活する傾向もでてきており、そこまでいかなくとも、別荘の利用期間が長期にわたり、あるいは多くなってくると、“少々の不便さを云々”とはいいきれないであろう。

 

 しかしながら、いずれにしても、市街地とは異なった生活体験を求めていることはかわらないと思われる。

 

 このような背景のもとに当計画案では学者村ということから、そのつかわれ方を

 ・ 書斎的な利用

 ・ 家族的な利用

 ・ 学生を伴ったゼミ的な利用

にしぼりこれに対応できる場を用意することを主眼とした。

 

 こうした利用法に対し、さらにローコスト住宅を目ざして構造的なアクロバットをせず、しかも、最小限の床面積におさえることを考え、外観も特に凝ることをせずに、多くは、ひっそりとした、たたずまいにした。

 

 内部では日本家屋のもっていたフレキシビリティーを用いて、これ等の多様なつかわれ方に応じるとともに、必要に応じてプライバシーを確保できることを考えた。また、設備関係はすっきりまとめ、日照、風通しなどの居住性とともに、空間の流れのおもしろさ、意外さ、遊びなどをとり込んで生活体験の快適さをねらった。

 

 しかしながら、まだまだ全体的に検討が足りず、また、面積的にもう少しひろげた方がその使い方は楽であろうというものもある。

特に時間的に余裕がなく、スケッチしたもののうちの一部しか紹介できなかったことは残念ですが、これ等の計画案をたたき台にしてより愉快な別荘計画をたてていただければ幸いです。

 

(設計と文: 住環境計画工房)

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どうでしょう。現代の志向にピッタリくるコンセプトではないですか。50年前のものとは思えません。まさに時代を先取りしていたといっていいでしょう。

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残念なことにこれらの設計を元に作られた別荘は現在確認できません。実現できなかったのでしょうか。

学者村では地元地域の成長を標榜していましたので工事は穂高の建築業者に依頼するようにお願いしてきました。

早熟なる感性と構想。当時の田舎の大工には技術的にも難しかったのかもしれません。計画が早足で一人歩きし、瞬く間に姿が見えなくなったといったところでしょうか。

 

時を経て、今になってようやく別荘の意味が問い正されているように思います。

文中にもあったように豊かな生活を求めて、自然環境の優れた別荘に本拠を置き、都会に通う生活を実践されている方々を知っています。

 

学園都市誘致の夢は潰えたのか?この学者村が別荘地である限りは、ここが新しい拠点となり得る限りにおいてはまだまだ夢の中であると思いたいのですが。(お)

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